しあわせ

3つの自由

「リバティ」「フリーダム」「ネイチャー」

 自由が人を幸福にします。ヨーロッパでキリスト教文化を背景に市民社会が形成され、今も、女性の権利やLGBTなど理想的な市民社会の実現が模索されています。

 土着の呪術や信仰、宗教に変わってキリスト教がヨーロッパ全土にいきわたり、教会と国王や貴族によって統治される社会が長い間続きました。18世紀の終わり頃の市民革命の後、「人権」は宗教や国の権力に優先される権利とされ、民主的な社会の基盤として「自由」「平等」「博愛」が大切な価値とされました。

 「自由」「平等」「博愛」は、人々がそれぞれの幸福を追求する基盤となります。中でも。「自由」を得ることが、幸福の実現には欠かせません。

 西洋では「リバティ」「フリーダム」という2つの自由があります。日本(東洋)では、それとは別に「ネイチャー」が自由を意味します。

 「リバティ」・・・物質や道具・人などを意のままに動かしたり・働かせたりできること。

 「フリーダム」・・・他の人が作った規則などから解放されて、自分の意のままに生きられること。

 「ネイチャー」・・・自然がなすままに任せること。

 「リバティ」「フリーダム」が人の意思による能動的な活動に対して、「ネイチャー」は人の意思はそれほど重要ではなく自然に委ねる受動的な状態です。


3つの幸せ

「やすらぎ」「つながり」「やる気」

参考図書>> 「ストレスフリー超大全」樺沢紫苑 著

精神科医の樺沢さんによると、幸福は3つの種類に分類できるそうです。そして、まずは心身の健康に留意して「やすらぎ」による幸福感を大切にすることを勧められています。

「セロトニン的幸福」

  ・・・「やすらぎ」「癒し」の幸福感。心配や不安、イライラのない「健やかな状態」のときに感じられる。朝の散歩、瞑想、笑顔などによって得られる。

「オキシトシン的幸福」

  ・・・「つながり」の幸福感。人間関係が安定することで感じられる。スキンシップやコミュニケーションによって得られる。

「ドーパミン的幸福」

  ・・・「やる気」の幸福感。お金を稼ぐ、スポーツ大会などで優勝する、目標を達成するなどによって感じられる。

「自分の幸せ」という不安?

参考図書>> 「対話のレッスン」平田オリザ 著

 平田さんは、著書の中で、日本人が今感じている閉塞感や、将来に対する漠然とした不安の核心を「自分の幸せを自分で決めなければならないことに対する不安」と表現しています。

 高度経済成長期が終わり、1970年代~1980年代にかけて日本社会は欧米諸国と肩を並べる経済力を持つに至りました。それまで、追いつけ追い越せと目標としてきた欧米社会とある意味で同じ問題を抱えつつ、将来の社会の在り方を模索し始めました。

 バブル経済崩壊とともに、年功序列賃金、終身雇用に代表される日本型雇用が崩れました。大手企業なら安心とは言えなくなりました。東京商工リサーチの調査によれば、2017年に倒産した企業の平均寿命は23.5年です。

 いわば安全パイがない社会になって、仕事と生活のバランスや生き方について、それぞれの人生観を持って生きることが大切になっています。自分の責任で生きることからくる漠然とした不安。それを、平田さんは、「自分の幸せを自分で決めなければならないことに対する不安」と言っているのだと思います。